皆さんは日本の食料自給率がどれくらいの数字なのか予想できますか?
「あまり良い数字でないことは確か」という認識である人は多いかと思います。
答えは、「37%」です(令和2年度)
お米や野菜に関しては比較的自給率は高いですが、小麦や大豆、果実といったものはかなり低くなっています。
着実に農家さんの高齢化が進む日本では、さらなる自給率の低下が懸念されているのです。
この記事では、そんな「日本の農業の現状と明るい未来に向けて必要な取り組み」について解説していきたいと思います。
日本国内の農業就業人口が減少傾向にあることは、長年様々なニュースで取り上げられているので知っている人は多いかと思います。
しかし、どれほど減少しているかはあまり理解していない人は多いはずです。
・2010年の農業就業者:260万人
・2015年の農業就業者:197万人
・2020年の農業就業者:152万人
これが現在の日本の現状です。
「多くの人が思っているよりもまずい状況」なのです。
さらに悪いデータとしては、152万人の農業人口のうち「65歳以上」の比率が「70%」を超えているということ。
このままのペースでは、10年後、20年後には現在の半数以下の農業人口になってしまう可能性もあるのです。
若年層の農業離れが起きている大きな要因となっているのが、「少子化」です。
そもそも若者自体の数が非常に少なくなっていっているのです。
2020年の出生率はなんと84万人となっており、第二次ベビーブーム(1973年前後)の200万人以上と比べると半分以下となってしまっているのです。
他にも若者の農業離れの要因があります。
・休みの少なさ
週休2日が当たり前になりつつある現代でも、農業の場合には休みがかなり少ないのが現状です。
それはやはり天候に大きく左右されるということや、収穫時期が決まっているということが関係しています。
・体力仕事であるから
さらに、腰を曲げて作業する機会が多く、体力が必要だという点も、若者が農業離れをしてしまう大きな原因となっているはずです。
・TPP(環太平洋パートナーシップ)の影響
TPPは、「参加国同士での関税を撤廃して貿易を自由化する」というものです。
もしも関税が撤廃されれば、輸出産業である自動車業界などは有利となりますが、輸出に力を割いていない日本の農家にとっては致命的なものとなってしまいます。
そういった懸念があるのも、農業業界に飛び込む若者が増えない1つの原因と言えるでしょう。
衰退の一途を辿る農業ですが、未来を切り開こうとする人たちが増えているのも確かです。
その1つが、「大規模化(法人化)」です。
元々農業は「農家さん」と言われる家族経営がほとんどでした。
しかし、働く人たちの高齢化によって、廃業するしかないケースも増えてしまいました。
その代わり、法人化して経営をする数は約4倍ほどに増えているのです。
2010年頃までは、農業全体の売上に対する法人化の割合は3割程度でしたが、現在では大規模と中規模の法人で約8割を占めるようになったのです。
農業を大規模化(法人化)すると同時に進んでいるのが、「スマート農業」という働き方です。
腰を曲げて肉体労働を朝から晩まで行っていたこれまでの農業とは一線を画し、Iot(モノのインターネット化)やICT(情報通信技術)といった先端技術によって、スマートな農業ができるようになってきたのです。
・自動走行するトラクター
・自動走行する田植え機
・収穫用ロボット
・農業用のドローン
・植物工場
・パワーアシストスーツ
これらを積極的に活用することにより、それまでの肉体労働というイメージから脱却することが可能となっているのです。
農業のIT化が進むことで、若者の農業への就業率も上昇していくはずです。
若者の農業離れを改善させるために、国も様々な対策(支援)を行っています。
・農業を始めるにあたって必要な初期投資を最大1,000万円補助する
・農業次世代人材投資事業の交付
・青年等就農資金
こういった国が行う対策と、前述したスマート農業などが進んでいけば、農業人口も今後上向きになっていく可能性があるのではないでしょうか。
今回は、「日本の農業の現状と明るい未来に向けて必要な取り組み」について解説してきました。
国内自給率が低く、農業就業人口が大幅に減少している日本の農業の現状は、あまり良いものであるとは言えません。
しかし、未来は真っ暗というわけではなく、大規模化(法人化)やスマート農業、国の支援などによって明るい兆しも見えてきているのです。