近年テレビやネット、雑誌、新聞、ラジオといったあらゆるメディアでよく聞くようになった言葉の中に「LGBT」というものがあります。
まったくその言葉の意味を知らないという人もいるはずですし、何となく「性別に関する言葉なのかな」と認識している人もいるかもしれません。
しかし、実際に「自分がLGBTに該当する」という人も、約5%程度いるということを考えると、非常に身近なものであると考えることができるはずです。
この記事では、そんな「LGBTとは何なのか?」という疑問や「LGBTにおける日本の現状と今後の課題」について解説していきたいと思います。
LGBTとは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシャル(Bisexual)という3つの性的思考と、生まれた時点で体と心の性別が違うトランスジェンダー(Transgender)という言葉の頭文字を取った造語となります。
こういったLGBTといった性的マイノリティ(少数派)は、日本だけでなく世界中に存在しています。
時に差別や侮辱を受けてしまうこともある為、不安や悩みなどを抱えながら暮らしていることが多いのです。
日本でも約5%程度のLGBTの人たちがいるとされています(その性質上正確な割合は算出できていない)が、多くの人が学校や会社、医療、結婚、公的サービスなどで問題が起きてしまう可能性が高いのです。
参照: https://www.moj.go.jp/JINKEN/LGBT/index.html
ここ数年有名人はもちろん、一般人においてもLGBTを公表する人たちが増えてきています。
なぜ公表する人が増えてきているのかは、以下の3つの要因によるところが大きいと考えられます。
特に10代、20代、30代といった若年層にとっては、それほどLGBT自体を意識しないという人も多くなってきています。
自分の友達やクラス、部活、会社内にLGBTの人がいても、他の人と同じように接することができるのです。
40代以降の人の中にも、「それほど気にしない」という人はいますが、年齢が上がるにつれてLGBTへの抵抗感は強かったりするものです。
これまでもLGBTの人はいましたし、公表した人も少数ですが存在しました。
しかし、それらの人は大きな差別や侮辱を受けてしまっていたことも確かです。
そして、理解が進み公表する人が増えたことで、差別や侮辱の頻度や程度が減少傾向となっていることもまた確かです。
とはいえ、あまりにも長い年月の間、人間は「男性と女性」という2つの性別が当たり前だと感じながら生きてきたので、そう簡単にすべての人のLGBTに対する差別の意識が払拭できるわけではありません。
実際に日本では同性同士の結婚が認められていません。
ちなみにG7(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本)の中で、同棲結婚が認められていないのは日本だけです。
これは、日本国憲法に記載された「婚姻は両性の合意に基づいてされるもの」という文の存在が大きいと言われています。
しかし、同時に日本国憲法には、すべての国民が平等に尊重されるべきという「基本的人権」があるのも確かです。
今後このどちらの概念を尊重していくかによっても、LGBTの結婚に関する問題は変化していくことでしょう。
他にも、前述したように学校や会社、医療、結婚、公的サービスにおいてもまだまだ完全な理解を受けられておらず、また国としての支援も完全には整備されていない為、LGBTの人が不安やストレスなく暮らしていくにはかなり時間が掛かると思われます。
同性の結婚は認められていないですし、まだ様々な場面で差別や生きにくさを感じてしまう状況ではありますが、決して状況が良い方向に進んでいないということではありません。
ネット社会の恩恵を受けLGBTへの理解は急速に広まっていますし、公表する人たちも増えてきています。
また、国としても2014年に文部科学省が学校における性同一性障害に関する状況調査を公表したり、2015年には性同一性障害に係る児童生徒にきめ細やかな対応を実施するように発出しています。
更に、2016年には文部科学省が教職員向けの手引きを作成し、学校内でのLGBTの子供達への支援を始めています。
まだまだ問題は山積していますが、国民全体のLGBTに対する意識と国としての支援や法的整備が進んでいけば、きっと性別など関係なく幸福に生きられる社会が実現できるはずです。
今回は、「LGBTとは何なのか?」という疑問や「LGBTにおける日本の現状と今後の課題」について解説してきました。
皆さんの周りにも、公表していないだけでLGBTの人が高い確率で存在するはずです。
もしもその事実を知ったとしても偏見を持って接するのではなく、しっかりと理解してそれまでと変わらない接し方をするようにしましょう。